SNSやクリエイターコミュニティの相談窓口では、「黄色と赤を混ぜたのに、なぜか鮮やかなオレンジにならず、茶褐色にくすんでしまう」という悩みが頻繁に投稿されています。美術指導者や塗料専門家への取材によると、この濁りには明確な3大要因が存在します。
第1の要因は、使用している赤絵の具の顔料に含まれる青みです。絵の具の「赤」として普及している色の中には、「カーマイン」や「クリムソン」のように微量の青(シアン成分)を含む赤紫系の顔料があります。青と黄色が混ざると補色関係に近づくため、結果として「赤+黄+青=黒・茶」の減法混色反応が起き、彩度が急激に低下してしまうのです。
第2の要因は、筆や筆洗(水入れ)の汚れです。現場観察において特に多いのが、直前に使った緑や青の絵の具が筆の根元や水に残っており、それが混色時に溶け出して無自覚に3原色混合を起こしているケースです。微量の青色成分であっても、黄色と赤の鮮やかさを瞬時に奪うには十分な影響力を持っています。
第3の要因は、絵の具の不透明度と顔料数の多さです。安価な学童用絵の具や多色混交顔料で作られたチューブの場合、すでにチューブの中で複数顔料が混ざり合っているため、混ぜれば混ぜるほど光の透過率が落ちて重たく濁った質感になってしまいます。