価格破壊を武器に急成長を遂げていた「焼肉酒場えびす」。その目玉商品こそが、1皿280円という驚異的な安さで提供されていた生肉ユッケだった。消費者の心を掴んだこの人気メニューが、のちに悪夢の元凶となる。店舗を展開していた株式会社フーズ・フォーラスは、売上至上主義のなかで急速に規模を拡大させていた。
発症者が相次いだ原因は、強い毒性を持ち重篤な症状を引き起こす腸管出血性大腸菌O111だった。死者5名、体調不良者は180名以上にのぼる大規模な生肉ユッケ集団食中毒事件へと発展。安全であるべき外食の現場が、一瞬にして生命を脅かす場へと変貌を遂げた衝撃は計り知れなかった。