導入前にもっとも多くの人が恐怖を抱くのが、「もし部屋に逃げ出したら、クロゴキブリやチャバネゴキブリのように家の中で増殖し、害虫化するのではないか?」という疑問です。
生態学および昆虫病理の観点からグリーンバナナローチ害虫化の真相を検証すると、日本の一般家屋内で定着・繁殖して害虫化することはまず起こり得ません。
本種は極端なまでに「乾燥」と「低温」に弱い昆虫です。湿度が60%以下に保たれた一般的な部屋のフローリングや家具の裏では、成虫はおよそ24〜48時間以内に体内の水分を急速に奪われ脱水死します。土に浅く潜る幼虫に至っては、湿った腐葉土から離れた瞬間に生命活動を維持できません。さらに、冬場に室温が10℃を下回る日本の木造住宅環境では、仮に水分を得られたとしても越冬することは不可能です。
ただし、生態学的に定着しないからといって油断は禁物です。逃げ出した緑色の個体が家族の視界に入った瞬間の精神的ショックや家庭内不和、またペットや子供が誤食するパニックといった「社会的人間関係の崩壊」こそが、真に警戒すべき実質的な脱走被害と言えます。