神宮外苑を巡る議論では、都市制度や土地所有の構造にまつわる見落とされがちなポイントがいくつか存在します。
盲点1:神宮外苑は「都有地・公立公園」ではなく「私有地」
多くの来訪者が公立の都市公園と認識していますが、神宮外苑の土地の大部分は宗教法人明治神宮の所有地(私有地)です。明治神宮は内苑(代々木の杜)と外苑の維持管理費用を、神宮球場などの施設収益によって自力で賄ってきました。施設老朽化に伴う維持費の増大と宗教法人としての財政基盤維持という切実な背景が、民間開発事業者との共同プロジェクトに至った根本要因です。
盲点2:「緑の総面積」と「生態系・巨木価値」の質的ギャップ
事業者側は「開発完了後には緑化率を向上させ、緑の総面積は増える」と主張しています。しかし、環境学的には「100年かけて形成された巨木群と土壌生態系」と、「人工地盤の上に植樹された若木や芝生」は生態学的・景観的価値において同等ではありません。この「量の議論」と「質の議論」の乖離が、議論がかみ合わない最大の要因となっています。