このような現象は、いかにしてメディアに消費され、大衆文化へと定着していったのだろうか。その黎明期を語る上で欠かせないのが、洗練されたアッパーな世界観を提示し続けた株式会社東京カレンダーの存在だ。食と都市ライフスタイルを軸にした同メディアの発信は、都心で生きる若者たちの野心に火をつけた。さらに、実写化されて話題となったWebドラマ『港区おじさん』は、富裕層男性と女性たちの絶妙な共存関係をコミカルかつ哀愁を込めて描き出し、一大ムーブメントを巻き起こした。
メディアによる表象はその後も止まらない。株式会社サイバーエージェントが手掛ける動画配信プラットフォームABEMAでは、若者のリアルな欲望を捉えたリアリティ番組が爆発的な人気を博し、社会の関心を惹きつけた。一方で、小川哲の小説を原案としたドラマ『東京男子図鑑』や、グローバル展開するNetflixのオリジナルコンテンツ群は、都市の階級社会と承認欲求の葛藤を容赦なく暴き出している。これら出版・メディア業界が作り上げた記号化されたストーリーは、若者に夢を与えると同時に、過剰な消費欲求という残酷な現実を突きつけてきた。