ブリッピング(Blipping)とは、英語で「アクセルを一瞬軽く踏み込む(煽る)」動作を指す言葉です。車両工学におけるブリッピングの目的は、ギアを低い段数に落とす「シフトダウン」の際、クラッチを切った一瞬の隙にアクセルを踏んでエンジン回転数を意図的に引き上げ、トランスミッション側の回転数と完全に一致させる(レブマッチングを行う)ことにあります。
走行中の車やバイクは、同じ車速であってもギア段数によってエンジンの回転数が異なります。例えば、時速50kmで4速に入っているときのエンジンが2,000回転だとすると、3速に落とした場合は変速比(ギア比)の関係上、約2,800回転まで跳ね上がります。何もせずにクラッチを繋ぐと、2,000回転のエンジンと2,800回転の駆動軸が強制的に接触するため、強烈な減速Gとともに「ガクン!」という大きな揺れが発生します。これがシフトショックの正体です。
ブリッピングを挟むことで、クラッチを繋ぐ前にあらかじめエンジンを2,800回転まで高めておけるため、一切の段差や抵抗なく滑らかに動力を再伝達できます。往年のレーシングカーで必須だった「ダブルクラッチ(ニュートラルで一度クラッチを繋いでから回転を合わせる操作)」を簡略化・高速化した技術であり、現代のシンクロメッシュ機構を備えたトランスミッションにおいても極めて有効なアプローチです。