名物「ぶっかけ」で全国に知られるふるいちのうどん。なぜここまで熱狂的な人気を誇るのか、その理由を探ると、昭和の時代に生まれた大胆な発想と、麺文化に対する職人の意地が浮かび上がってきます。
もともと倉敷では、ざるうどんのつゆを直接どんぶりのうどんに「ぶっかけて」豪快にかき混ぜて食べる賄い飯や庶民の習慣が存在していました。これに着目した創業者の古市大万氏が、昭和40年代に試行錯誤を重ね、従来の薄味なかけ出汁とは一線を画す「専用の濃厚タレ」を開発。1979年に「ぶっかけうどん」の商標登録を出願・取得したことが、現在へと続く全国的なぶっかけブームの原点となりました。
ふるいちが熱狂的なファンを掴んで離さない最大の理由は、利尻昆布と厳選された削り節を贅沢に煮詰めた「濃厚な秘伝の甘辛ダレ」にあります。讃岐うどんがイリコ主体の澄んだ出汁をさっとかけるスタイルであるのに対し、ふるいちのタレはみりんや醤油のコクが凝縮されており、ひと口目のインパクトが極めて強烈です。そこに、毎日の天候や湿度に合わせて熟成時間を綿密に調整した、モチモチ感と強いコシを両立する自家製麺が絡み合います。さらに、トッピングされる刻み海苔、天かす、ネギ、すり胡麻、そしてワサビ(冷)や生姜(温)の薬味が絶妙なアクセントを生み出し、最後の一滴まで飲み干したくなる中毒性を生み出しているのです。