清玄という男のパーソナリティを語る上で避けて通れないのが、彼の過酷すぎる出自です。公式スピンオフ小説『双星の陰陽師 -天縁若虎-』で詳細に明かされた通り、天若家は表向きの華やかな陰陽師ではなく、総覇陰陽連の暗部として罪人や裏切り者を人知れず抹殺する処刑集団「律(りつ)」の頭目を代々務めていました。
清玄自身も幼少期から「人を殺めるための道具」として育てられ、自らの感情を殺して数々の暗殺任務をこなす日々を送っていました。その呪われた宿命から彼を精神的に救い出したのが、後に妻となる音海紫(おとみ ゆかり)との出会いでした。彼女の無垢な優しさに触れた清玄は、人間らしい心を取り戻し、裏稼業から足を洗って表舞台の十二天将・白虎を襲名する決意を固めます。
しかし、表の世界に出た彼を待ち受けていたのは、指導者として預かった雛月寮での悪夢でした。弟子である石鏡悠斗の内に潜む異常な狂気と実験を見抜けず、結果として有望な子どもたちが全滅し、ろくろが心に一生消えない傷を負う「雛月の悲劇」を防げなかったのです。「自分の甘さが悲劇を招いた」という痛烈な自責の念が、その後の清玄の冷徹な仮面と、自己を犠牲にしてでも弟子たちを守ろうとする行動原理の根底に存在しています。