当時、医学界からは当然のように冷ややかな視線が注がれた。がん治療において標準治療以外の代替医療に傾倒することは、時に命に関わるリスクを伴うからだ。池江の周囲も、なべの介入を歓迎する者ばかりではなかったと言われている。
だが、闘病という極限状態において、患者が求めるものは肉体的な治療だけではない。絶望の淵に立たされた彼女にとって、なべが提供した「何か」は、科学では説明のつかない心の安定をもたらした可能性がある。単なる怪しげな民間療法として片付けるには、当時の彼女の精神的プレッシャーはあまりにも重すぎたのだ。