甘露煮作りの最大のハードルとされるのが、硬い鬼皮と実に張り付いた渋皮の処理です。乾燥した生栗を力任せに包丁で剥こうとすると、怪我のリスクが高いだけでなく、実を深く削り取ってしまい可食部が大幅に減少します。
プロの現場でも採用されている最も再現性の高い方法は「熱湯浸漬法」です。生栗をボウルに入れ、沸騰した熱湯をたっぷりと注いで蓋をし、約30〜40分放置して粗熱を取ります。水分と熱が鬼皮の繊維を膨張させ、革のように柔らかくなるため、底部の「座」と呼ばれるザラザラした部分に包丁の刃を引っかけ、頂上に向かって引っ張るだけで驚くほど滑らかに剥ぎ取ることができます。
さらに革新的な時短テクニックとして定着しているのが「冷凍熱湯ショック法」です。生栗を水洗いして水気を拭き取り、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で最低8時間以上完全に凍結させます。使う直前に凍った栗を熱湯に5分間浸けると、外側の鬼皮と内側の果肉の熱膨張率の差によって隙間が生まれ、手やペティナイフで鬼皮が吸い付くように剥がれます。
渋皮を剥く際は、果肉の平らな面に沿って薄く削ぐように包丁を滑らせるのが鉄則です。このとき、角を丸く面取りするように削ることで、煮込み時の対流による栗同士の衝突衝撃を逃がし、角からの欠けや煮崩れを劇的に防ぐことができます。