千本鳥居を抜けた先にある奥社奉拝所(命婦谷)には、境内で最も人気のある体験型スポット「おもかる石」が存在します。石灯籠の前で願い事を思い浮かべ、空輪(一番上の丸い石)を持ち上げた際、自分の予想よりも軽ければ願いが叶い、重ければ叶いにくい、あるいは努力を要すると言い伝えられています。
このおもかる石に関して、心理学的な観点から興味深い検証がなされています。人間は「重いだろう」と過度に警戒して持ち上げると相対的に軽く感じ、「軽いだろう」と侮って不用意に持ち上げると想像以上の重量感に圧倒されます。この石が教える本質は単なる吉凶占いではなく、「目標に対して事前にどれほどの覚悟と準備をしているか」という参拝者の無意識の心理状態を鏡のように映し出す点にあります。
また、奥社奉拝所で授与される「きつね絵馬」は、キツネの顔の形を模した木製絵馬に参拝者自身が眉やヒゲ、表情を自由に描き込むユニークな授与品です。願望の成就を祈る言葉とともに、個性あふれる表情が奉納所に並ぶ光景は圧巻の見どころとなっています。
参拝の記念となる御朱印については、本殿横の授与所および奥社奉拝所、御膳谷奉拝所などで拝受可能です。伏見稲荷大社の参拝時間は境内自体が終日自由であるものの、御朱印や各種お守りの授与時間は午前8時30分から午後4時30分頃までに限定されている点には注意が必要です。朱印帳への直書き対応や書き置き対応の状況は祭礼日によって変動するため、時間に余裕を持った訪問が求められます。