小川さゆりという名前は、本人の安全と私生活を保護するために用いられている活動名(仮名)です。彼女が背負ってきた生い立ちと本名・経歴を伏せてまで表舞台に立った背景には、言語を絶する家庭環境がありました。
両親が熱心な信者であった家庭では、教団への多額の献金が最優先され、生活は常に困窮していました。幼少期から「親の信仰に従わなければ地獄に落ちる」という強烈な教義の刷り込み(マインドコントロール)を受け、自由な交友関係や娯楽、将来の夢の選択肢すら奪われていたといいます。学生時代には自身がアルバイトで必死に貯めた進学資金や生活費までもが親によって献金に充てられるなど、著しい経済的搾取と精神的虐待が日常化していました。
後に上梓された自著『小川さゆり、宗教2世』の中でも詳細に語られている通り、教団特有の「合同結婚式」への参加強要や、教義に反した際の激しい叱責など、個人の人権や尊厳が完全に否定される環境に置かれていました。彼女が告発を決意した原点は、単なる個人的な復讐心ではなく、「自分と同じように幼少期から選択の自由を奪われ、今も人知れず苦しんでいる全国の宗教2世を救い出したい」という切実な危機感でした。