夏競馬の新潟開催において、多くのファンが息をのんで見つめるのが「第7レース」です。午前中の第5レース(11時30分頃)が終了したあと、約3時間半におよぶ異例の「昼休み・休止時間」へ突入。スタンドからファンの姿が一瞬引いたあと、気温がピークをわずかに過ぎた15時10分に再開される一発目の戦いが、この7レースです。ここで平穏な決着に収まるケースは極めて稀で、3連単の平均配当が跳ね上がる「魔のゾーン」と化しています。
波乱が多発する最大の要因は、組まれている番組の性質にあります。この時間帯に配置されるのは、秋以降の中央競馬生き残りを懸けた「3歳未勝利戦」です。8月下旬から9月上旬にかけて未勝利戦の番組自体が終了するため、ここに駒を進めてくる陣営にとっては、文字通り「負ければ中央登録抹消・地方移籍」を宣告されるラストチャンス。調教で無理をしてでも仕上げてくる馬、初ブリンカーや大幅な馬具変更で一発逆転を狙う馬、さらには減量特典を持つ若手騎手を起用して前残りを狙う馬など、各陣営の思惑が激しく交錯します。実績上位の人気馬であっても、この極限状態特有のハイペースやプレッシャーに呑まれ、あっけなく馬群に沈むシーンが後を絶ちません。
さらに見逃せないのが、休止時間を挟むことによる「環境の断絶」です。関係者の証言によると、午前中のレースを走る馬と、15時過ぎにレースを迎える馬とでは、装鞍所や下見所(パドック)で受ける熱ストレスの蓄積度がまったく異なります。新潟競馬場の夏は、日中の強烈な日差しによって芝・ダートの水分が極限まで蒸発し、クッション値や路面温度が劇的に変化します。午前中に行われた芝レースの時計感覚や馬場傾向をそのまま信じて午後の7レースに挑むと、乾き切った高速馬場やインコースの荒れ具合に対応できず、人気馬が脆くも敗れ去るというトラップが仕掛けられているのです。