なぜこれほど危険な廃墟が長期間にわたり解体されず残されてきたのか。その背景には、全国の旧観光地が共通して抱える複雑な所有権と莫大な撤去費用の壁が存在します。
ホテル運営法人の破綻後、不動産に対する抵当権や相続関係が複雑に絡み合い、責任を持って解体を主導すべき権利者の特定や合意形成が難航しました。さらに、海沿いの急傾斜地という特殊な立地条件に加え、アスベスト(石綿)の適正処理が義務付けられていることから、解体にかかる工事費用は数億円規模に膨らみます。民間での採算確保が難しく、行政代執行を行うにしても公金投入に対する市民の合意形成が必要となるため、抜本的な解決までに長い歳月を要する要因となっています。