タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する風潮は、コミュニケーションの領域にも完全に浸透した。電話がかかってくること自体を「自分の時間を奪うテロ行為」と捉える若者は少なくない。事前にメッセージでアポイントメントを取らなければ、親しい友人であっても通話ボタンを押すことはタブー視されるようになった。
この極端な効率主義は、予期せぬ沈黙や、言葉に詰まる瞬間の美しさを奪い去ってしまった。即答を求められるプレッシャーから逃れるために、非同期のテキストコミュニケーションへ逃げ込む。だが、その結果として得られたのは、無機質で予測可能な記号のやり取りだけだった。