医療法人の体系を正しく理解する上で最大の鍵を握るのが、「医療法人社団 医療法人財団 違い」の構造です。日本の医療法人は、構成要素が「人」であるか「財産」であるかによって、社団と財団に二分されます。
医療法人社団は、医師や賛同者といった複数の人間が集まり、共同して拠出した資金(出資金・基金)を元手に形成される組織です。組織運営の最高意思決定機関は「社員総会」であり、組織の根本規則は「定款」に規定されます。民法上の社団法人と同様の枠組みを持つため、個人開業医が事業拡大や節税を視野に入れて法人化する場合、ほぼ100%がこの医療法人社団を選択します。
対照的に、医療法人財団は「財産の集まり」を法人格の基礎としています。個人の医師や篤志家、あるいは一般企業などが無償で寄附した財産をベースに設立される点が決定的に異なります。最高意思決定機関は「評議員会」となり、根本規則は定款ではなく「寄附行為」と呼ばれます。医療法人財団 設立要件は極めて厳格であり、設立者が寄附した金銭や不動産などの財産は完全に寄附者の手を離れ、私権の介入が厳しく排除されます。
厚生労働省の公表する「医療法人数の推移」によると、全国に5万8,000法人以上存在する医療法人のうち、財団はわずか400法人程度に過ぎず、全体の1%未満にとどまります。名手病院や大手グループの源流など、歴史的篤志家や大企業が地域医療のために私財を投げ打って創設した記念碑的な病院に財団が多いのは、この設立背景に起因しています。