「天素(てんそ)」の愛称で親しまれた吉本印天然素材。1991年に結成されたこのグループは、当時の吉本興業が打ち出した一大プロジェクトだった。心斎橋筋2丁目劇場を中心としていた若手芸人たちを集め、ダンスパフォーマンスと本格的なお笑い・コメディを組み合わせるという前代未聞の試みだったのだ。
黄色い声援が飛び交う後楽園ホール。超満員の観客を前に、キレのあるダンスを披露した後に繰り広げられるコント。そのコントラストは圧倒的だった。しかし、当事者である若手芸人たちの心境は複雑極まりなかったという。お笑いファンからは「アイドル気取りだ」と冷ややかな視線を送られ、芸人としてのプライドと世間の評価のギャップに苦しむ日々が続いた。