ルート3をめぐる数学の歴史において、最も美しく論理的思考の本質を突いているのが「ルート3はなぜ有理数(分数)で表せないのか」というルート3無理数の証明です。大学入試の記述問題でも頻出のテーマであり、論理展開の鮮やかさから数学ファンに愛され続けています。
この証明には、「結論をあらかじめ否定して論理を進め、矛盾を導き出す」という背理法(はいりほう)を用います。
【背理法によるルート3の無理数証明】1. 仮定:
もし√3が有理数であると仮定すると、互いに素(これ以上約分できない)な自然数 a, b を用いて、次のように分数で表すことができる。
√3 = a / b(aとbの最大公約数は1)
2. 変形と自乗:両辺に b を掛けて「√3 b = a」とし、両辺を2乗する。
3b² = a² …… ①
3. 3の倍数の性質:①より、a² は3の倍数である。2乗して3の倍数になる自然数は、もとの数も3の倍数でなければならないため、a は3の倍数である。したがって、整数 k を用いて次のように置くことができる。
a = 3k
4. 代入と矛盾の発生:a = 3k を①の式に代入する。
3b² = (3k)² = 9k²
両辺を3で割ると、
b² = 3k²
これは、b² もまた3の倍数であることを示しており、したがって b も3の倍数でなければならない。
5. 結論:a と b の双方が3の倍数であるということは、両者は公約数「3」を持つことになり、「a と b は互いに素である(最大公約数が1)」という当初の前提条件と完全に矛盾する。
したがって、仮定「√3が有理数である」は誤りであり、√3は無理数であることが証明された。
教育関係者の証言によると、この背理法の証明ステップは「仮定を置いて自壊させる」という厳密なディベートや法廷論理と全く同じ構造を持っています。公式を暗記するだけでは得られない「論理が破綻しない強固な思考力」を養う上で、ルート3の証明は今なお最高の教材として評価されています。