映画の公開当時から、医師や栄養学者たちの間ではある疑念が渦巻いていました。「いくらジャンクフードと炭酸飲料を過剰摂取し、運動不足に陥ったとしても、わずか3週間程度で健康な成人男性の肝臓が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を飛び越え、劇症肝炎レベルの壊滅的数値を叩き出すことは生理学的にあり得ないのではないか」という疑問です。ネット上でもスーパーサイズミーの嘘やスーパーサイズミーのヤラセを疑う声は長年燻り続けていました。
その疑惑が決定的な確証へと変わったのが、映画公開から13年が経過した2017年末のことです。スパーロック監督は、世界的に広がった「#MeToo」運動の最中、自身の過去の性的不品行やハラスメントを告白する長文の手記をブログに公開しました。その告白の中に、医療関係者を驚愕させる一節が記されていたのです。
監督は自らの人生の過ちを吐露する文脈において、「私は13歳の頃から酒を飲み始め、この30年間、一週間としてシラフ(素面)で過ごしたことがない」と明かしました。つまり、『スーパーサイズ・ミー』の撮影期間中も、彼は日常的に大量のアルコールを摂取していた重度のアルコール依存症状態にあったのです。
当時の映画内を綿密に見返すと、実験前の医師の問診において「飲酒習慣」について問われた監督は、笑いながら「たまに飲む程度だ」と明確に虚偽の申告をしていました。映画で医師が「過度の飲酒を長年続けたアルコール中毒患者の末期肝臓を見ているようだ」と驚愕したシーンは、演出やマクドナルドの油のせいではなく、文字通り監督本人の慢性的なアルコール依存症と実験中の継続飲酒がもたらした直接的な毒性であったことが裏付けられた瞬間でした。観客が信じ込まされた「ファストフードの猛毒性」というナラティブは、肝心要の因子を意図的に隠蔽したバイアスに満ちたものであったと言わざるを得ません。