気圧調整グッズの装着と並行してマスターしておきたいのが、耳管を能動的に開放する飛行機の耳抜きテクニックです。しかし、間違った自己流の耳抜きは鼓膜に不可逆な損傷を与える危険を孕んでいます。
最も広く知られている「バルサルバ法」(鼻をつまんで口を閉じ、鼻から息を吐き出すように耳へ空気を送り込む方法)には厳重な注意が必要です。耳の奥に激痛を感じている最中に力任せに息をいきむと、急激な圧力が中耳腔を直撃し、内耳の窓を破壊する「外リンパ瘻(ろう)」や鼓膜穿孔を引き起こすリスクがあります。
安全に耳圧を逃がすための実践ステップは以下の通りです:
- トインビー法の実践:鼻をつまんだ状態で唾液をゴクンと飲み込む。鼻腔を密閉した状態で嚥下運動を行うことで、耳管周囲の口蓋帆張筋が自然に引き上げられ、安全に中耳腔へ空気が誘導されます。
- オトベント等の自己耳管通気器具の活用:鼻息で特殊な風船を膨らませることで適切な換気圧を一定に保つ医療用器具(オトベント)は、耳管狭窄傾向のある旅行者にとって極めて有効な対策となります。
- 下顎の側方運動とあくび:下顎を前や左右にスライドさせながら大きなあくびの動作をすることで、耳管の開口部を物理的に刺激します。
なお、耳抜きを試みる際は「痛くなる前に、数十秒おきに軽く行う」のが鉄則です。強い痛みを感じた時点で耳管粘膜は外気圧に押しつぶされてロックされており、そこから無理やり空気を押し通そうとする行為は火に油を注ぐ結果にしかなりません。