食事改善は体質を根本から整える長期的なアプローチですが、「今夜起きるかもしれない発作」に対して即効性を持つ医療的選択肢として広く知られているのが、漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう・ツムラ68番など)です。
芍薬甘草湯は、筋肉の緊張を緩める「芍薬(シャクヤク)」と、急激な痛みを鎮める「甘草(カンゾウ)」の2つの生薬だけで構成されています。通常の漢方薬は数週間から数ヶ月かけて効果を実感するものが多い中、芍薬甘草湯は服用からわずか5分から15分程度で筋弛緩作用を発揮するという、漢方界でも極めて異例の即効性を持ちます。
臨床現場で推奨される飲み方は、以下の2通りです。
- 発作時の頓服(とんぷく):枕元に水と1包を常備しておき、つりそうな予兆を感じた瞬間、あるいはつってしまった直後にすぐ服用する。
- 就寝前の予防的服用:毎晩決まった時間帯につる人は、就寝の30分ほど前にお湯に溶かして服用する。
ただし、ここには重大な注意点が存在します。甘草に含まれる主成分「グリチルリチン」を過剰・長期に摂取すると、体内にナトリウムが蓄積しカリウムが排出される「偽アルドステロン症」を引き起こすリスクがあります。これにより、むくみや血圧上昇、重篤な筋力低下を招く恐れがあるため、「毎日予防のために何ヶ月も漫然と飲み続ける」行為は厳禁です。あくまで頓服薬、あるいは医師の管理下での短期間使用にとどめるべきです。
また、手軽さから注目されるこむら返り予防サプリメントについても、正しいリテラシーが求められます。マグネシウムサプリは便秘薬(酸化マグネシウム)としても使われるように、一度に大量摂取すると腸管内に水分を引き込み、軟便や下痢を引き起こします。吸収率を考慮するならば、「キレート加工されたマグネシウム」や「クエン酸マグネシウム」、あるいは皮膚から吸収させる「エプソムソルト(硫酸マグネシウム)の入浴剤」や「マグネシウムオイルスプレー」による経皮吸収を活用するのが、胃腸への負担を避ける賢明な選択です。