世界的な大ヒットを記録し、大きな社会現象を巻き起こした『地面師たち』は、まさにこの潮流の極致と言える作品だ。巨額の土地詐欺を巡る緊迫したサスペンスドラマにおいて、物語を駆動させていたのは怪優たちが撒き散らす狂おしいほどの人間味と緊迫感であった。
善と悪の境界線が曖昧になる極限状態の中で、観客を恐怖と興奮の渦に巻き込んだのは、教科書通りの美しい演技ではない。冷酷なまでの計算高さと、ふとした瞬間に漏れ出る人間の醜悪さ。そうした複雑極まりない感情のグラデーションを過剰な演出なしに表現できる役者が揃って初めて、作品は世界水準のサスペンスへと昇華する。