池波作品を語る上で「食」の存在を外すことはできない。五鉄の軍鶏鍋は、単なる小道具ではなく、登場人物たちの心境を雄弁に物語るキャラクターそのものだ。冷え切った身体に染み渡る熱い出汁、歯ごたえのある肉の旨味。過酷な任務を終えた密偵たちが平蔵の前でそれを口にするとき、張り詰めた仮面がふっと剥がれ、生身の人間に戻る。
善悪が単純に割り切れない人間の業を見つめ続けた池波正太郎。彼が遺した五鉄の情景は、令和の現代を生きる私たちの渇いた心をも温め続けている。暖簾の向こうで交わされる熱いドラマは、これからも色あせることなく語り継がれていくだろう。 (出典: 五 鉄(Yahoo!ニュース))
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