映画のクライマックス、動物園で象を前にしたテルコのモノローグは、多くの観客に衝撃を与えた。「マモルになりたい」という彼女の言葉は、一般的な恋愛感情の枠組みを完全に逸脱している。好きだから結ばれたい、愛されたいという次元を超え、相手そのものと同化したいという歪んだ境地への到達だ。
このラストシーンは、一見すると吹っ切れたようでありながら、実はより深い狂気の沼へと足を踏み入れた瞬間でもある。マモルにとっての「特別な女」になれないのなら、せめて彼の一番近くで都合のいい存在であり続け、彼を内側から支配してしまおうという無言の執念。爽やかな青空の下で語られるその独白の異様さに気づいた瞬間、背筋が凍るような戦慄を覚えるはずだ。