近年の出版業界において、このジャンルはもはや一過性の流行ではなく、独立した人気カテゴリーとして定着した。かつては道徳や温かみが重視されていた絵本棚の最前線に、あえて不気味さやスリルを打ち出した作品群がずらりと並ぶ光景は珍しくない。
この潮流を決定づけたのが、立体的なメディアミックス展開だ。俳優や豪華声優陣が朗読を務め、気鋭のクリエイターが映像化するEテレ『怖い絵本』は、放送されるたびにSNSのトレンドを席巻する。見逃した世代がNHKオンデマンドで過去のアーカイブをむさぼるように鑑賞する動きも日常化している。さらに、物理的な本を部屋に置くのが少し怖いという層や移動中に手軽に読みたい層に向けてAmazon Kindleでの配信も急速に広がっており、ホラー絵本の楽しみ方は多様化の一途を辿っている。