フィルターだけでなくドリッパー自体が見当たらない状況でも、抽出技術の基本さえ押さえれば、マグカップひとつで本格的な一杯が完成します。現場で即座に役立つ2つの実用的アプローチを解説します。
第1の方法は、お茶パック代用による「浸漬式(しんししき)」です。市販の不織布お茶パックに中挽きのコーヒー粉を10〜12g入れ、しっかりと折り返して口を閉じます。これを直接マグカップに入れ、沸騰から一呼吸置いた約90〜92℃の熱湯を150ml注ぎ、スプーンで軽く揺らしながら3分30秒〜4分間浸置します。フレンチプレスと全く同じ原理により、粉っぽさを出さずに豆本来の甘みとコクを効率的に引き出すことができます。
第2の方法は、茶こし代用によるハイブリッド抽出です。ドリッパーがない場合、茶こしをマグカップの縁に水平にセットし、その上に湯通ししたキッチンペーパーを敷くことで即席の透過型ドリッパーが完成します。ペーパーがない場合は粗挽き粉をそのまま茶こしに投入し、細くゆっくりと円を描くようにお湯を注ぎます。金属メッシュ特有のダイレクトな抽出により、油分を含んだ力強い味わいに仕上がります。