野田クリスタルの現在の姿しか知らない世代にとっては想像しがたい事実ですが、10代から20代前半にかけての彼は、体重60kg前後の極めて細身な青年でした。当時の劇場やインディーズライブ時代の映像を振り返ると、現在の重厚感あふれる面影はなく、典型的な痩せ型体型であったことが確認できます。
彼がバーベルを握るきっかけとなった原点は、高校時代に抱いた「自力でダンクシュートを決めたい」という身体能力への強い憧れでした。しかし、本格的な筋肥大へ舵を切る決定打となったのは、過酷なお笑い界で生き抜くための精神武装に他なりません。
当時のインタビューや特番での告白によると、舞台でどんなに手痛くスベっても、理不尽な批判に晒されても、「いざとなれば目の前の人間を力でねじ伏せられる」という圧倒的なフィジカルの優位性が、芸人としての強固な自信とメンタルブロックの解除に直結したと語られています。単なる見せ筋ではなく、表現者としての「心の防弾チョッキ」として筋肉が機能したことが、継続の最大の原動力でした。