粉瘤は医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。自然治癒することはなく、根治には皮膚の下にできた袋状の組織(嚢腫壁)を外科的に完全摘出する必要があります。医師が医学的見地から切除の必要性を認めた場合、当然ながら公的医療保険(健康保険)が適用されます。
手術費用を決定づける公的医療保険の診療報酬点数は、主に「腫瘍の大きさ(直径)」と「発生部位(露出部か非露出部か)」の2軸で厳密に区分されています。形成外科や皮膚科の医療関係者が参照する医科診療報酬点数表において、粉瘤の切除は「皮膚、皮下腫瘍摘出術」に該当します。
ここで言う「露出部」とは、日常的に衣服で隠れない部位(頭部、顔面、頸部、肘関節より先、膝関節より先)を指し、傷跡を目立たなくさせる高度な形成外科技術が要求されるため、背中やお腹といった「非露出部(露出部以外)」よりも診療報酬点数が高く設定されています。
低侵襲で傷跡が極めて小さく済む「くり抜き法(へそ抜き法・トレパン法)」を選択した場合でも、公的医療保険の算定区分上は従来のメスによる切開摘出術と同様に「皮膚、皮下腫瘍摘出術」として扱われるのが一般的です。以下の比較表は、窓口負担3割の方が受ける手術の技術料と、初診料・再診料・病理組織顕微鏡検査代を含めた実際の自己負担総額の相場です。
なお、摘出した組織が悪性腫瘍(皮膚がん等)でないかを確認するための「病理組織顕微鏡検査」が実施されるのが通例であり、この病理検査費用として窓口負担が約3,000円程度加算されます。処方される抗生物質や鎮痛剤の調剤薬局費用(約500円〜1,000円)も含め、通常サイズの粉瘤であれば「1回の手術で約8,000円〜1万円前後の現金を準備しておけば安心」というのが現場の実情です。