漫然と治療を長引かせないためには、専門医による確定診断と客観的な重症度評価が不可欠です。耳鼻咽喉科での診断基準においては、問診による発熱・増悪頻度の確認に加え、電子スコープ内視鏡による扁桃陰窩の膿汁・膿栓の付着状況、扁桃周囲の発赤や癒着の度合いを視診します。さらに血液検査を実施し、CRP(炎症反応)の数値だけでなく、過去の溶連菌感染の痕跡を示すASO値、免疫複合体の動向を総合的に解析して治療方針を決定します。
治療の選択肢は、大きく分けて薬物や含嗽による「保存的治療」と、病巣そのものを物理的に切除する「口蓋扁桃摘出術(こうがいへんとうてきしゅつじゅつ)」の2系統が存在します。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が推奨する扁桃摘出術の適応と経過の標準的クライテリアは、以下のいずれかに合致する場合です。
- 習慣性扁桃炎として、高熱を伴う急性発作を年間4〜5回以上、または2年連続して年間3回以上繰り返している場合
- 病理学的に扁桃病巣感染症(掌蹠膿疱症、IgA腎症、胸肋鎖骨過形成症など)の原発巣と診断された場合
- 扁桃周囲膿瘍の既往が1回以上あり、再発リスクが極めて高いと判断される場合
- 高度の扁桃肥大により、重度の睡眠時無呼吸症候群や嚥下障害を来している場合
手術を検討するにあたり、患者にとって最も現実的な関心事となる慢性扁桃炎の手術費用と入院期間、および保存的治療との相違点を客観的データとして整理しました。
高額療養費制度を利用すれば、一般的な所得区分の現役世代であれば自己負担限度額は月額8万〜9万円程度に抑えられます。有給休暇の取得や社会復帰のスケジュール調整は必須となるものの、生涯にわたって薬を飲み続け、発熱の恐怖に怯える時間的・精神的コストを考慮すれば、極めて費用対効果の高い医療介入といえます。