定格荷重とは?積載荷重との違いや計算方法・違反の罰則を徹底解説

定格荷重とは?積載荷重との違いや計算方法・違反の罰則を徹底解説

定格荷重とは?積載荷重との違いや計算方法・違反の罰則を徹底解説とはどのようなものなのか? 背景や要点を簡潔に解説します。

大手ゼネコンの安全推進部関係者や、長年建設現場でクレーン合図手を務めるベテラン技能者の証言を突き合わせると、事故の真因はクレーン本体ではなく「吊り具側の見落とし」に集中している実態が浮かび上がります。

玉掛け用具の自重を忘れる計算ミス

前述の通り、定格荷重は「定格総荷重 − つり具質量」ですが、ここで引かなければならない「つり具」には、機械付属のフックだけでなく、玉掛け用具(ワイヤーロープ、チェーンスリング、吊り天秤、シャックルなど)の総質量も含まれます。

大規模現場で大型のH形鋼やコンクリート二次製品を吊る場合、特注の吊りビーム(天秤)だけで500kgから1トンを超えるケースがあります。また、極太のワイヤーロープと大型シャックルを組み合わせれば、それだけで数百kgの重量になります。インターネットの知恵袋や建設従事者のコミュニティでは、以下のような生々しい失敗談が頻繁に共有されています。

「定格総荷重まで残り300kgの余裕があったため作業を強行したところ、過負荷防止装置の警報が鳴り響いて緊急停止した。調べたら、吊り天秤とワイヤの重さ400kgをまったく計算に入れていなかった」(基礎工事会社オペレーターの手記より)

吊り角度による張力増加の罠

もう一つの重大な盲点が、玉掛け用具自体の「使用荷重」と「吊り角度」の関係です。クレーンの定格荷重内に収まっていても、ワイヤーロープが耐えきれずに切断する事故が絶えません。

2点吊りの場合、吊り荷とワイヤの角度(開き角度)が広がるほど、ワイヤ1本あたりにかかる張力は急激に増大します。角度が60度になると張力係数は1.155倍、90度では1.414倍、120度では2.0倍に達します。つまり、120度の開き角度で2トンの荷物を吊った場合、ワイヤには荷物と同じ2トンずつの張力が左右それぞれに加わる計算になります。玉掛け用具の安全荷重計算を怠ることは、目に見えない時限爆弾を抱えて作業するのと同義です。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。