陸上ファンの間で「アンタッチャブル・レコード(不滅の記録)」の一つとして語り継がれているのが、チェコのバルボラ・シュポタコバが2008年9月13日、ドイツ・シュトゥットガルトで開催されたワールドアスレティックス・ファイナルでマークした72m28です。
シュポタコバは同年の北京オリンピックでも金メダルを獲得しており、まさに選手生命の絶頂期に放たれた一投でした。やりが放物線の頂点を描いた後も失速せず、まるで風に乗るように伸びて突き刺さった72m28という数字は、現行規格において女子選手が到達した最高峰の金字塔です。
女子やり投げの投擲物は重さ600グラム。一般的な成人女性が力任せに投げても20メートル前後にしか届かないやりを、70メートル以上の彼方へ運ぶには、強靭な筋力だけでなく、助走の運動エネルギーをロスなく伝えるミリ単位の投擲技術と柔軟性が不可欠とされています。