行使できる権限の範囲と、主たる執務拠点にも大きな違いがある。総裁としての権限は党内に限定される。具体的には、党役員人事の決定権、国政選挙における候補者の公認権、党資金の運用方針の決定などだ。選挙で公認を得られるかどうかは議員の政治生命に直結するため、党内における総裁の力はきわめて強い。
対して、首相の権限は国家の政治・行政全般におよぶ。閣僚(大臣)の任免権をはじめ、自衛隊の最高指揮監督権、外交交渉の主導、さらには衆議院の解散権という強力なカードを握る。活動の拠点も、総裁としては東京都千代田区永田町の自民党本部で執務を行い、首相としては道路を隔てた内閣官邸で公務にあたる。
首相が記者会見を行う際も、内閣官邸で行う場合は「政府としての公式見解」となり、党本部で行う場合は「一政党としての見解」となる。報道陣もこの切り分けを厳格に区別して取材を行っている。