かつてないほど配信技術が向上した現代において、YouTubeでのライブストリーミングや、U-NEXTによる高画質見逃し配信は日常生活に完全に定着した。カット割りされた映像やアップのスイッチングは完璧に計算されており、鑑賞環境として非常に優れていることは疑いようもない。
しかし、配信映像のカメラワークは「ディレクターが見せたい映像」であって、必ずしも「自分が今見たい瞬間」ではない。双眼鏡を手にした観客は、自らがカメラマンとなり、メインボーカルが歌っている最中にバックダンサーと交わした一瞬のアイコンタクトや、曲の合間に見せた素の表情を自由に追うことができる。この「主観的な視線の自由」こそが、生のライブ・コンサート会場に脚を運び、自らの目と光学レンズを通して世界と繋がる最大の価値なのだ。