大阪福島レガロのピザが世界一と呼ばれる理由|行列の真相と予約攻略

大阪福島レガロのピザが世界一と呼ばれる理由|行列の真相と予約攻略

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ラ・ピッツァ・ナポレターナ・レガロを語る上で外せないのが、オーナーピッツァ職人(ピッツァイオーロ)である新田岳(にった たけし)氏の存在です。新田氏は20代でイタリア・ナポリへ単身渡航し、老舗名店で本場のクラフトマンシップを徹底的に体得しました。その修業の結実として、2010年にナポリで開催された「世界ナポリピッツァ職人選手権(カプート杯)」のS.T.G.(伝統的特産品保証)部門において、並み居るイタリア現地トップ職人を抑えて世界第1位の栄冠に輝いた経歴を持ちます。

新田氏が当時のメディア取材や料理学会の場で繰り返し強調しているのは、「ピッツァは料理ではなく、発酵と熱の物理現象である」という哲学です。レガロのピッツァが他店と決定的に異なる理由は、以下の緻密な3つの技術的要素に集約されます。

第1に、生地の加水率と発酵管理です。新田氏が操る生地は、一般的なピッツェリアの加水率(約60〜63%)を上回る超高加水(推定68%前後)で仕込まれています。外気温や湿度に応じて数グラム単位で水分・塩分を調整し、24時間から最長48時間におよぶ低温長時間発酵を実施。これにより、小麦粉中のデンプンが十分に糖化し、胃もたれしない軽やかさと爆発的な旨味成分が形成されます。

第2に、薪窯(フォルノ)の熱対流コントロールです。店内奥に鎮座する特注薪窯の内部温度は約450〜480℃に保たれており、投入されたピッツァはわずか60秒から90秒の短時間で焼き上げられます。窯内部の炎の立ち上がり、床面の蓄熱状態、薪の種類(ナラやクヌギなど煤の出にくい硬木)を秒単位で見極め、生地内の水分を一気に気化させることで、あの独特の気泡に満ちたコルニチョーネ(額縁)が生み出されます。

第3に、食材の一体化(エマルション)です。イタリア・カンパーニャ州から空輸される水牛モッツァレラ、甘みと酸味のバランスが計算されたサンマルツァーノ産トマト、そして上質なエクストラバージンオリーブオイル。これらが高熱下で激しく混ざり合い、生地の上で極上のソースへと乳化します。「世界一」という看板は単なる過去の栄誉ではなく、日々の窯前における極限の物理計算に裏打ちされた必然の結果といえます。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。