彼の歩みを振り返ると、日本ミュージカルの黄金期そのものが浮かび上がる。『キャッツ』のオールドデュトロノミーやアスパラガス=グロールタイガーで見せた包容力ある歌唱。『美女と野獣』のビースト役で表現した野性と純真のコントラスト。さらに『ジーザス・クライスト=スーパースター』での緊迫感あふれるアプローチなど、演じる役柄ごとに声の質感を劇的に変えてみせる。
テノールとバリトンの境界を自在に行き来する比類なき声域。劇団時代に磨き抜かれた「言葉の母音と子音を客席の隅々まで届ける」卓越した発声技術は、独立後のステージでも強烈な説得力を生み出している。