山谷の歴史を語る上で避けて通れないのが、1980年代の激動を捉えた映画『山谷─やられたらやりかえせ』である。現場の過酷な労働環境と暴力団による搾取を暴こうとしたこの作品は、単なる映像記録を超えた重いインパクトを社会に与えた。
監督を務めた佐藤満寿夫は、取材途中に暴力団関係者に襲われ命を落とすという惨劇に見舞われた。遺志を継いだスタッフによって完成されたこの作品は、社会派ドキュメンタリーの金字塔として今なお語り継がれている。ジャーナリズム業界においても、命を賭して街の歪みに挑んだ彼の闘いは、権力や暴力に対する報道の姿勢を問い直す象徴的な事件として刻まれている。