坂口憲二の人生における最大の転機は、2018年3月に発表された芸能活動の無期限休止でした。病名は厚生労働省指定の特定疾患である「特発性大腿骨頭壊死症」。股関節の骨組織が壊死し、激しい痛みを伴う難病です。人気ドラマシリーズの主演を務め、順風満帆に見えた俳優人生が突如として暗転しました。
歩行すら困難な時期を迎え、絶望の淵に立たされた坂口憲二を精神的にも肉体的にも支え抜いたのが妻でした。幼い子供たちを抱えながら、夫の療養生活を献身的にサポート。坂口憲二自身、当時の心境を振り返ったメディア取材で「家族の存在がなければ、前を向くことすらできなかった」と深く感謝を述べています。
治療とリハビリを重ねる中で、坂口憲二は新たな生き甲斐としてコーヒー焙煎の道を見出します。バリスタの成澤敬介氏に師事し、豆の選定から焙煎技術までゼロから修行を積みました。そして2018年夏、オリジナルブランド「THE RISING SUN COFFEE」を立ち上げます。
ここで活きたのが、妻がかつて培った飲食店経営の経験とセンスでした。店舗設計、オペレーションの構築、ブランディングにおいて、妻は最も頼れるビジネスパートナーとして夫を支えました。千葉県九十九里の焙煎所からスタートした同ブランドは、都内やオンライン通販でも爆発的な支持を獲得。タレントショップの域を完全に超え、本格派スペシャルティコーヒーブランドとしての地位を確立しました。
さらに2023年、フジテレビ系ドラマ『風間公親-教場0-』で約9年ぶりにドラマ復帰を果たすと、その後もCMや映像作品へと活動の幅を拡大。健康状態を慎重に見極めながら、俳優業とコーヒービジネスを見事に両立させています。その復活劇の陰には、常に家庭と事業の土台を固め続けた妻の献身がありました。