ネット上のQ&AサイトやSNSを調査すると、手の指のしこりに悩む人々の生々しい体験談が数千件規模で蓄積されています。その中で圧倒的に多いのが、「魚の目の芯だと思って爪切りや毛抜きで深くえぐったら、血が止まらなくなり、数ヶ月後に周囲に3つも4つも増えた」という悲痛な叫びです。
現場の皮膚科医がカルテを開きながらため息をつくのは、まさにこの瞬間です。尋常性疣贅の内部に見える「黒い点」は、ウイルスが自分を増殖させるために真皮から引き込んだ新生血管(毛細血管)の断端です。これを魚の目の芯と勘違いして刃物で切除しようとすると、多量の出血とともにウイルス粒子が周囲の微小な傷口へと撒き散らされます。
この現象は医学的に「自家接種(ケブネル現象に類似した病変拡大)」と呼ばれ、1箇所だったイボが指全体、さらには爪の生え際(爪囲疣贅)や顔、唇にまで飛び火する最悪のシナリオを引き起こします。自著や手記で自力切除の失敗談を語るブロガーやインフルエンサーの記録を見ても、「自己流の切除で完治した例」は皆無に等しく、全員が最終的に「最初から皮膚科へ行けばよかった」と後悔を滲ませています。