医療機関を受診する患者の手記や、オンライン上の健康コミュニティ(Yahoo!知恵袋、SNSなど)に集まるリアルな声に耳を傾けると、医療従事者が考える以上に深刻な生活の質の低下が浮き彫りになります。
ある30代のデスクワーカー女性は、当時の心境を次のように綴っています。
「朝起きて水を飲むたびに、左耳の中でセロハンテープを剥がすような『バリッ』という音が響き続けました。仕事の電話中も自分の声が耳元で反響し、めまいまで感じるように。耳掃除のしすぎかと思って綿棒で奥を突いていたら、さらに悪化して強い耳閉感に襲われました」
また、20代男性からは急激な体型変化に伴う体験談も寄せられています。
「過酷な糖質制限ダイエットで1ヶ月に6キロ落とした直後から、つばを飲み込むと『パチパチ』と音が鳴るようになりました。走ったり話したりすると自分の息の音が耳の中で嵐のようにゴーゴー鳴り、人と話すのが怖くなりました」
臨床の現場でも、耳鳴りがバリバリ鳴る症状が自然治癒するかどうかは、発症から受診までの期間と生活背景に大きく左右されます。短期間の軽い鼻風邪に伴う一過性の耳管狭窄であれば、粘膜の炎症が治まることで数日から1週間程度で自然に快方へ向かいます。一方で、体重減少や慢性的な自律神経失調が背景にある耳管開放症の場合、「放っておけばそのうち治る」と過信して放置した結果、半年以上にわたり症状が慢性化し、うつ状態に陥ってしまう事例も珍しくありません。