現在流通している10円玉の中で、コレクターが最も血眼になって探しているのが昭和61年の後期型です。同じ昭和61年に発行されたものでも、「前期」は一般的な価値にとどまるのに対し、「後期」は状態が良いもので10万円超の査定がつくケースがあります。
なぜ同じ年号でデザインが異なるのか。造幣局は昭和62年のプルーフ貨幣セット製造に向け、平等院鳳凰堂の細部彫刻を美しく改良した新しい原図(金型)を準備していました。ところが、昭和61年の通常貨幣製造の最終盤にこの新しい金型が前倒しで使用され、ごく一部だけ市場に混入したことが原因とされています。
ルーペ(拡大鏡)やスマートフォンのマクロ撮影を使い、以下の3つのポイントを比較することで前期・後期の判別が可能です。
判別ポイント1:平等院鳳凰堂の中央屋根の形状
中央の大きな屋根の反りと切れ目を観察します。前期型は屋根のラインが直線的で角が角張っているのに対し、後期型は屋根の先端がなだらかな曲線を描いて反り上がり、よりシャープな立体感を持っています。
判別ポイント2:屋根の上の鳳凰の尾とディテール
屋根の頂点に立つ鳳凰の彫刻です。前期型は彫りがやや潰れており尾羽の輪郭が曖昧ですが、後期型は尾羽の筋が1本ずつ繊細に彫り込まれており、羽の広がりが明確に確認できます。
判別ポイント3:中央階段の「手すり・縦線」の切れ目
最も識別しやすい決定打となるのが、鳳凰堂正面にある階段部分です。階段を挟む左右の手すり(側壁)の縦線を確認してください。前期型は縦線が上から下まで途切れずに一直線に伸びています。一方、後期型は手すりの上部に隙間(切れ目)があり、デザインが分離して見えます。
手元に昭和61年の10円玉があれば、まずは階段の手すり部分を拡大して確認してみてください。