顔の表情をつくり出す表情筋群のなかで、上唇挙筋は眼窩(目のくぼみ)の下縁付近から始まり、上唇の筋肉(口輪筋)へと入り込んでいます。主な役割は「上唇を上方へまっすぐ引き上げる」ことです。食事の際や会話時、そして感情を表現する笑顔の形成において中心的な働きを担っています。
顔の立体感や若々しさを語るうえで、上唇挙筋単体だけでなく、周囲に位置する以下の筋肉群との協調関係を理解することが欠かせません。
- 上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょききん):目頭の下あたりから小鼻(鼻翼)と上唇に向かって走行し、小鼻を広げつつ上唇を引き上げる筋肉。不機嫌な表情や強い引き上げに関与します。
- 小頬骨筋(しょうきょうこつきん):頬骨から上唇の外側に向かって斜めに走り、上唇を斜め上外側へ引き上げます。
- 大頬骨筋(だいきょうこつきん):頬骨から口角に向かって力強く伸び、口角を斜め上方へダイナミックに引き上げる「最高の笑顔をつくる主役」です。
- 口角挙筋(こうかくきょききん):上唇挙筋の深層に位置し、口角をダイレクトに真上へ引き上げる深層筋(インナーマッスル)です。
解剖学的に見て重要なのは、上唇挙筋は「上唇の中央寄り」を引き上げるベクトルを持つのに対し、上品で若々しい笑顔をつくる主役は「口角を斜め上に引き上げる大頬骨筋や口角挙筋」であるという点です。上唇挙筋ばかりを過剰に使って笑う癖がつくと、口角が上がらずに上唇だけがめくれ上がるような不自然な表情になってしまいます。