「原価数十円のプラスチック板ではないのか」という疑問は、SNSや育児コミュニティでも毎年のように持ち上がる定番のトピックです。しかし、玩具流通関係者や露具商協同組合のデータ、現場への聞き取り調査を突き合わせると、露店の現場が決して暴利を貪っているわけではない実情が浮かび上がってきます。
屋台で販売されている人気アニメや特撮ヒーローのお面が高額になる最大の理由は、正規の版権許諾(キャラクターライセンス料)にあります。お面の裏側を確認すると必ず版権許諾証紙(ライセンスシール)が貼付されており、東映、円谷プロ、サンリオ、任天堂などの著作権者へ正規のロイヤリティが支払われています。さらに、立体成型用の金型製作費や安全基準をクリアした塩化ビニル・PET素材の加工コストが初期費用として重くのしかかります。
実際の流通において、玩具卸問屋から露店主が仕入れるお面の仕入れ値は1枚あたり約400円〜600円に達します。ここに以下のコストが上乗せされる構造となっています。
露店商にとって、1年で放送が終了する特撮戦隊やプリキュアシリーズは、秋を過ぎると「不良在庫」と化すハイリスク商品です。雨天による祭り中止のリスクも含め、数日間の短期決戦で利益を確保しなければ事業が成り立たないという業界特有の事情が、1,000円超というプライシングを形成しています。