ネット上の簡易的なまとめ記事などでは「中目黒の激安居酒屋寿司」と短絡的に紹介されることも少なくありません。しかし、その認識だけで暖簾をくぐると本質を見誤ることになります。
いろは寿司 本店が半世紀近くにわたって生き残り、食通や業界の重鎮たちから愛され続けている最大の理由は、「大衆寿司としての仕込みの誠実さ」にあります。冷凍の加工品をただ解凍して並べる格安チェーンとは根本的に異なり、豊洲市場などから仕入れた魚を職人たちが毎日店内で手当てし、仕込んでいます。名物のコハダの締め具合、煮穴子のふっくらとした火入れ、マグロの筋の丁寧な処理など、長年の職人技が随所に宿っているのです。
「高級店の10分の1の価格で、日常食としての極上の寿司体験を提供する」という矜持があるからこそ、本物を知る大人たちが深夜に吸い寄せられます。「安かろう悪かろう」というネットの一面的なラベリングは明らかな誤解であり、原価と手間を大衆価格へ還元し続ける職人たちの企業努力こそが、名店たる真の屋台骨です。