2019年11月24日、ソウル市江南区の自宅で息を引き取っているのが発見されたク・ハラさん。享年28という若さでした。警察の現場鑑識や遺族への取材メモには、自筆で身辺を悲観する内容のメモが残されていたことが確認されています。
ク・ハラさんを精神的に追い詰めた直接的な要因として、元交際相手による暴行および性的なプライベート動画を用いた脅迫(リベンジポルノ被害)、そしてそれに伴うネット上の苛烈なバッシングが挙げられます。2018年秋以降、法廷闘争へと発展したこの事件において、ハラさんは激しい精神的プレッシャーと二次加害に晒され続けました。裁判所は後に元交際相手に対して実刑判決を下しましたが、ハラさんが受けた心の傷は癒えることがありませんでした。
さらに精神的な決定打となったのが、無二の親友であったソルリさんの死でした。ソルリさんもまた、生前はネット上の悪質な誹謗中傷に苦しめられていました。ソルリさんが亡くなった直後、日本滞在中だったハラさんは自身のInstagramライブ配信で、憔悴した面持ちで大粒の涙を流しながら次のように語っていました。
「ソルリ、日本にいて行けなくてごめんね。あなたに会いたい……あなたの分まで私が一生懸命生きるからね」
自らを奮い立たせるように振り絞ったこの言葉から約1か月半後、ハラさんもまた旅立ってしまいました。ファンの間では「ソルリの死による深い喪失感が、孤独に戦っていたハラさんの心の防壁を崩してしまったのではないか」と痛惜の念が広がりました。
「クハラ法」の内容と成立経緯|理不尽な遺産相続への抗議
ハラさんの死後、韓国社会に大きな一石を投じたのがいわゆる「クハラ法(民法改正案)」をめぐる法廷闘争です。ハラさんが幼少期(当時9歳頃)に家庭を捨てて失踪した実母が、ハラさんの死後に突如現れ、遺産の半分を相続する権利を主張したことが発端でした。
実兄であるク・ホイン氏は「子どもを養育する義務を著しく怠った親が、その子どもの財産を相続することは法的に不条理である」と猛烈に抗議し、立法請願を起こしました。この運動は国民的な支持を集め、幾度もの国会廃案と再提出の試練を経て、2024年8月に韓国国会本会議で正式に可決されました。2026年より本格施行されるこの法改正は、養育義務を放棄した親の相続権を剥奪できる道を開き、ハラさんの遺志が法制度改革として実を結んだ歴史的瞬間となりました。