満島ひかりという才能が世に知れ渡る最大の契機となったのが、2009年公開の園子温監督作品『愛のむきだし』です。上映時間4時間近くに及ぶこの異色大作で、彼女は心に深いトラウマを抱えるヒロイン・ヨーコ役を熱演しました。
作中では、激しい暴力や暴言、パンチラアクション、胸元をあらわにするような極限状態のシーンが連続します。撮影現場では連日のように監督から激しい叱責を受け、「もう女優を辞めてもいい」と思いつめるほど精神的・肉体的に追い詰められた末の演技だったと後に語られています。
飾り気のない感情をむき出しにしてカメラにぶつかった彼女の姿は、国内外の映画祭で絶賛を浴びました。キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞やヨコハマ映画祭最優秀新人賞など、主要な映画賞を総なめにし、元アイドルの肩書を完全に払拭する決定打となったのです。