代紋バッジはすべての組員に同じものが配られるわけではありません。組織内での地位や役職に応じて、使われる貴金属の素材や仕様には厳格な格差が設けられています。ヤクザの代紋バッジの階級と種類は、そのままピラミッド型組織の権力構造を反映しています。
警察白書や元組員の手記によると、ピラミッドの頂点に君臨する直参(二次団体の組長など)クラスに支給・貸与されるバッジは、純金(K24/K18)やプラチナ製で作られており、重量感や細工の精度が全く異なります。金相場の高騰も相まって、地金価値だけでも数十万円から数百万円に達するケースが少なくありません。裏面には一人ひとり異なるシリアルナンバーが刻印され、誰にどの番号が割り当てられているかが組織の総務部などで厳密に台帳管理されています。
対して、三次団体以下の末端組員や若い衆に配られるものは、真鍮製や銅に金メッキを施した安価なバッジです。これらは数千円から数万円程度の原価で製造され、組織の会費や上納金の中から支給されるか、実費で購入させられる仕組みとなっています。
代紋バッジの返還・剥奪の理由についても明確な掟があります。組を円満に引退(カタギに戻る)する場合は本部にバッジを丁重に「返還」しますが、規律違反による「破門」や「絶縁」処分を受けた場合は、その場で暴力的に「剥奪」されます。剥奪されたバッジはシリアルナンバーとともに記録され、二度と裏社会で看板を掲げられないよう抹消されるのが通例です。