長らく「対症療法しかない」とされてきた神経筋疾患の治療現場に、根本治療の光が差し込んでいる。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子補充療法や、病因となる変異mRNAの働きを抑えるアンチセンス核酸医薬の治験がグローバル規模で加速している。
医療・ヘルスケア産業におけるバイオテック各社は、先天性ミオパチーのような希少疾患を重要な研究開発ターゲットと位置づけ、巨額の創薬投資を敢行している。特定の変異型ミオチュブラーミオパチーに対する遺伝子導入アプローチは、自力呼吸が困難だった重症児の運動機能を劇的に改善させる臨床データを叩き出し、世界中の医療従事者を驚愕させた。
遺伝子編集技術CRISPR-Casを活用した精密医療の応用研究も水面下で進んでおり、損傷した遺伝子コードそのものを直接書き換える未来型セラピーの実現へ向けてカウントダウンが始まっている。