ビジネスの利便性を高める言葉である一方、現場での受け止め方は一様ではありません。SNSや大手キャリアの転職者コミュニティ、匿名掲示板等に寄せられる一次情報を検証すると、この言葉を取り巻く「温度差」が浮き彫りになります。
外資系戦略ファーム出身の現役経営企画マネージャーは、取材に対して次のように語っています。
「『前提条件を完全に揃えて比較してください』と毎回言うと15文字以上かかりますが、『アップルトゥアップルで』と言えば一瞬で伝わります。思考のスピードを落とさないためのショートカットキーのようなものです」
しかしその反面、現場からは強いアレルギー反応が聞かれることも事実です。大手メーカーの営業担当者による社内告白では、次のような苛立ちが吐露されています。
「本部長が『このデータはアップル・トゥ・アップルじゃない』と連呼するのですが、要するに『前年同期と比べろ』と言いたいだけ。日本語で端的に指示してくれれば済む話を、わざわざ難解なカタカナ語で煙に巻く姿勢に現場は辟易しています」
実際のところ、言葉そのものに罪はありません。問題の本質は、「相手がその定義を正しく理解しているか」を確認することなく、自身の知性を誇示するための装飾として使ってしまうコミュニケーションの傲慢さにあります。