行政が掲げる「犬猫殺処分ゼロプロジェクト」は、単なるスローガンではない。管轄する北九州市環境局を中心に、獣医師会や地元のボランティア団体が結束し、収容動物の生存率向上に向けた多角的な施策が動いている。
かつては引き取り後、短期間で処分対象となっていた負傷動物や乳幼児の犬猫に対し、丁寧な手厚い医療ケアやミルクボランティア制度が導入された。幼齢の離乳前子猫をボランティアの自宅で一時預かりし、自力で食事ができるようになるまで育てる仕組みが、生存率を大きく引き上げている。
それでもなお、攻撃性が極めて高い個体や治癒不可能な重度の疾患を抱えた動物など、人道的な安楽死を選択せざるを得ない悲痛な現場も存在する。現場の職員たちは「殺処分ゼロ」の数値目標だけに囚われず、動物本来の福祉と向き合う葛藤を抱え続けている。