都内某所、看板も出さずに営業するその店舗には、毎シーズンオフになると現役のプロ野球選手たちが人目を避けるようにして訪れる。彼らが求めるのは、大量生産のラインからは決して生まれない「手とのミリ単位のフィット感の追求」と「究極のフィーリング」だ。
「1ミリの革の厚み、数グラムの重量バランスで打撃のブレが変わる。プロが求めているのはスペック数値ではなく、自分の身体の延長として道具が機能するかどうかだ」と、取材に応じたベテランのクラフトマンは静かに語る。一般のファンには見えないバックヤードで、数々の名プレーを支えるギアが日々仕立て上げられているのだ。